週末には収穫祭があちこちで行われるこの時期、新しい今年度のワイン“ノヴェッロ”を楽しんだ後は、いよいよオリーブの登場です。ワインと違いオリーブオイルは新鮮であればあるほど美味しいのです。そしてその収穫期は10月末から12月くらいまでとさまざまですが、トスカーナ地方はだいたい10月末から11月中旬の間に行われます。早摘みで、ピリッとした味わいが特徴です。
さて、私もいつかオリーブの収穫を体験したいな! と思っていたものの、この時期はいきなり寒くなる上、ハードな労働のため「手伝います!」と宣言するのはなかなか勇気がいる。そこで、今年は、私の大好きなオリーブオイルの生産者に見学をお願いしました。去年も搾りたてのオリーブオイルを購入させてもらい、その味のよさはダントツ。どうしたらそんなに美味しいものが作れるの?
まず最初に連れて行ってもらったのはオリーブの木の丘。収穫作業をしているおじさん達がいました。おじさんと言うよりは“おじいちゃん達”と言ってもいいほどの年齢。木の下にネットを張って梯子で上がりオリーブを熊手で落としたり、木が高くなりすぎないように電動ノコギリで枝を切ったりと、ゆっくりとしたペースで作業は行われていました。丘一面に広がるオリーブの木の実をすべて採るのは大変な作業だ!
実をよく見ると黒や緑、緑と黒がグラデーションになっているなどオリーブの種類はいろいろ。何百種類ものオリーブが存在するそうですが、トスカーナでは主に4種類がオイル用に使われていてこれらをうまくブレンドして絶妙な味を作りだすそうです。
おいしいオリーブオイルを作る何よりも重要なポイントはオリーブを収穫した24時間以内(最低でも2日以内)にフラントイオ(オリーブ搾油所)にもって行きオイルにすること! また収穫してからフラントイオに持って行くまでの間も涼しいところに保管しておくこと。そうすることによって、エキストラ・バージン・オリーブ・オイルの規定である1%以下の酸味量に抑えることができるのだそうです。そんなわけで、今日は朝の4時半から作業をしているとのこと。恐れ入りました!
次に連れて行ってもらったのはフラントイオ(オリーブ搾油所)。大手のワイナリーでオリーブオイルも生産しているところは自分でもこの機械を持っていますが、そうでない人はこのような工場に予約を入れてオリーブを持って行くのです。1年に一回しか出番のないこの機械。この時期はもちろんフル回転です。次から次へとオリーブがトラックで運ばれてきて、搾られ、数時間後にはオリーブオイルとなります。それをじっと管理する人が3名ほど。実を洗い、葉っぱなどをとり、搾り、ペースト状になったオリーブを水と分散し、オイルになるのです。オリーブの約16%しかオイルにはならないということで、相当量のオリーブを収穫しなくてはなりません。搾りかすは別のところでさらに搾りクオリティーの一番低いオイル=サンサ・オイルとなるのです。
採れたての一番搾りのエキストラ・バージン・オリーブオイルは、きれいなエメラルドグリーン色で、ピリッと少し辛みがあり、口の中に新鮮な香りが広がります。オイルそのものをパンにつけたり、サラダやパスタにかけたりして火を通さずに味と香りを楽しみます。ちょっとつけただけでお料理も驚くほど味が変わります。
こんな新鮮なオイルも1年経つと黄色っぽく変色し、香りもかなり失われてしまいますので、1年で使いきるくらいの量を買い、毎年新オイルを待つわけです。私は今年も5リットルを買いました。もちろん調理用にはもっと安くクオリティーの低いものを使い、こちらのオイルは味付け、ドレッシングなどオイルの味そのものを楽しむような時だけに使用します。
本当に美味しいオリーブオイルに出会いたい方は、春頃までに購入しましょう。より保存が効くものはきれいにフィルターされた透明感のあるものですが、できれば、イタリアであまりフィルターのかかっていない、新鮮そのものの味を是非味わってみて欲しいものです。
ちなみに、オリーブオイルの奥の深さを追求する人のために、
オリーブオイル・ソムリエ講座
http://www.firenzeweb.net/ryugaku/scuolaart/wine/ais/oil.html
などもあります。
もちろん、その晩はその日に搾られたオリーブオイルをパンにたっぷりつけて味わったのでした。